寄る辺なき夜

社会不適合者が世の中を低みの見物するネガポジブログ

サナギの話

 

 

外壁にいつからかサナギがくっついているのに気がついた。

部屋の窓を開け閉めする時に目に入るのだ。

 

 

 

 

 

虫のことは全くと言っていいほどわからないが、サナギになるからには蝶とか蛾とかの幼虫だろうなと漠然と思っていた。

毎日毎日見かけると、何となくサナギを応援してやりたいような気持ちが湧いてくる。

反対に生活が思うように行かない自分を応援しているように見えた。

 

数えていたわけじゃないから正確ではないが一ヶ月は既に経ったように思う。

サナギの羽化ってこんなに時間がかかるのか?

そう疑問に思いつつ、明日には羽化するかも……と調べずにいたが

今日で10月。流石に長いのでは? とグーグル先生に聞いてみると、

もちろん状況によって違いはあるものの10日から14日ほどで羽化するようだ。

 

だいぶ過ぎている……。

しかも昨晩は猛烈な台風が通過したばかりだし、やはりあれは、サナギのまま死んでしまったのだろうか。

つまり自分は死んだサナギを眺めて、応援されるような心持ちになっていたというのか……。

 

縁起悪ッ!

まるで、お前は現状を変えられずにそのまま死んで行くのだ! と不吉な予言をされたようだ。

 

虫に感情移入してどうすんだよ。

っていうかそもそも俺は虫がキライなんだったよ……

 

なんなんだ一体、そしてなんなんだ自分は……。

得も言われぬ気持ちになる10月の朝。

 

 

それで結局、サナギは死んでるの? 生きてるの?

 

 

 

 

終わり。